セルフブレーキ下降器(ディセンダー)の検討ポイント
高所作業は足場無しのロープワーク
足場を作らずに、
ロープにぶら下がりながら、
高所作業(セルフビルド家作り)をしています。
懸垂下降するだけなら、
エイト環で十分だけど、
空中に留まって作業する場合、
ロープを巻きつけて下降を止めなければいけない。
その都度ロープを固定するのは効率が悪く、
下降・停止をコントロール出来る下降器を調べました。
パニック防止機能の有無
手を離しても強く握ってもロックされる、パニック防止機能は付いているか
産業用のセルフブレーキ下降器には必ず付いている、
パニック防止機能。
下降器のレバーから手を離しても、
強くレバーを引きすぎても、
止まる仕組みになっているのか。
クライミングギアで懸垂下降する場合は、
ロープから手を離さないことが絶対なので、
パニック防止機能が付いていない道具も多い。
落下防止機能の有無
カラビナから外さずに、ロープの取り付け・取り外し出来るか
道具によっては、
一旦カラビナから外さないとロープを通せないものがある。
落とす可能性があるということ・・・。
確実に落とさないためには、
補助ロープを掛けておいて、
バックアップを取っておく必要がある。
下降だけでなく、登高(登り返し)も出来るのか
下降器でも、
一時的に短い距離を登り返し出来るかも重要なポイント。
登高出来るかどうかで、
作業用途によっては、作業効率が変わってくる。
下降時のロープ制動の操作性・反応の良さ
レバーを操作したときの、
ロープ制動の反応の良さ。
下降器によっては、
動き始めがスムーズでなく大きく流れたり、
レバー操作時に、
一拍遅れて止まったりするものもある。
大きくロープが流れてから停止するのは怖い・・・。
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下降器(ディセンダー)の規格
ヨーロッパ規格「EN12841 TypeC」
EU圏の共通規格
日本には、
下降器の安全基準の規格がないので、
ヨーロッパのEN規格を参照する。
下降器の規格は、
EN12841の他に、EN341がある。
下降器に関する規格(アルテリア[ペツルの日本総輸入販売元]のページ)
アメリカ規格「NFPA1983」
下降器に関する全米防火協会の規格(NFPA)
消防、レスキューの規格。
下降器と、使用するロープの条件が定められている。
ロープの種類と規格
ロープの種類 | ロープの認証規格 |
---|---|
スタティックロープ・セミスタティックロープ | ・EN1891 ・NFPA1983 |
ダイナミックロープ | EN892 |
アーボリスト用クライミングロープ | ANSI Z133 |
セルフブレーキ下降器で使用するロープは、
伸び率の少ないスタティックロープ・セミスタティックロープを選ぶこと。
EN1891 TypeA認証済みのセミスタティックロープを選ぶこと。
(TypeBより認証条件が厳しい)
道具選びの判断材料がたくさんありすぎる・・・。
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セルフブレーキ下降器の比較
セルフブレーキ下降器の製品を調べてみました。
ペツル製品は、
安全講習等を受けていないと購入出来ないため、
比較・検討から除いています。
マークワンプラス、旧ダブルストップディッセンダープラス(DSDプラス)
パニック防止機能 | ○手を離しても、レバーを握っても止まる |
---|---|
落下防止機能 | ○カラビナを取り外すことなく、ロープセット可能 |
登高(登り返し) | ×全くと言っていいほど、登り返しが出来ない |
操作性・反応の良さ | ◎レバーを握るとスムーズにロープが流れる |
使用ロープの種類 | セミスタティックロープ 9〜12mm ・9mm(EN1891 TypeA) 最大運用荷重:130kg ・10mm〜12mm(EN1891 TypeB) 最大運用荷重:200kg |
アンスロン社が統合によりスカイロテック社となり、
製品名が変更になっています。
旧製品からの変更点
- ハンドルが、旧モデル(DSDプラス)より約1.5cm長くなっている
- カムが新しくなり、ロープの流れ、制動力が向上
下降時のロープ操作性はDSDプラスがピカイチ
メリットは、
ハンドル操作時のロープ制動の良さ。
他セルフブレーキ下降器より、
操作性の評判が群を抜いて評判が良い。
デメリットは、
ちょっとした短い距離の登り返しが出来ないこと。
(ロープを手で引き出さない限り、登り返しが出来ない・・・。)
ロープが固すぎたり、太すぎたりすると、
スムーズに流れていかない事例も聞く。
マークワンプラス
DSDアッセンダープラス
ローリー
パニック防止機能 | ○手を離しても、レバーを引いても止まる |
---|---|
落下防止機能 | ×カラビナから取り外さないと、ロープ装着不可 |
登高(登り返し) | ○アッセンダーと併用して登り返し可能。セルフレスキュー1/3システムにも使える |
操作性・反応の良さ | △ロープの流れが大きい、レバーを引いて停止する(パニック防止機能)タイミングが一拍遅れる |
軽量コンパクトのビレイデバイス
下降器の規格(EN12841 TypeC)の他に、
ビレイデバイス(確保器)の規格(EN15151-1)も取得している
登り返しが出来るので、
登り降りをする作業するのに最適。
使用用途ごとのロープ種類・太さ
用途(認証規格) | 使用ロープ & ロープ径 |
---|---|
ロープ・アクセス<br/ >(EN12841 TypeC) | スタティックロープ 10〜12mm |
ワーク・ポジショニング<br/ >(EN358) | スタティックロープ 10.5mm〜11mm |
ビレイ・デバイス (EN15151) | ダイナミックロープ 8.9mm〜11.4mm セミスタティックロープ 9-12mm |
Climbing Technology スパロー
パニック防止機能 | ○手を離しても、レバーを強く引いても止まる |
---|---|
落下防止機能 | ○カラビナを取り外すことなく、ロープセット可能 |
登高(登り返し) | ○アッセンダーと併用して登り返し可能 |
操作性・反応の良さ | ○DSDプラスには劣るが、ローリー、ペツルのアイディより評判が良い |
使用ロープの種類 | スタティック or セミスタティックロープ 10.5mm~11mm(EN1891 TypeA) 最大運用荷重:150kg |
操作性、制動性、機能性、軽量性のバランスが1番
DSDプラスでは、
スムーズに流れていかない硬いロープでも、
スパローではスムーズに動くのがメリット。
ギアの側面にロープを引っ掛けて、
フリクション(摩擦力)を増やせる突起が付いている。
下降中にロープ操作だけで下降速度の調整が出来る。
ペツル ストップ(ブレーキアシスト機能付下降器)
パニック防止機能 | ×手動でハンドルをロック・解除する |
---|---|
落下防止機能 | ○カラビナを取り外すことなく、ロープセット可能 |
登高(登り返し) | ○アッセンダーと併用して登り返し可能 |
操作性・反応の良さ | △停止時にロープが流れやすく、他の手段でもロープを固定した方が良い |
使用ロープの種類 | 9〜12mm |
ロープが流れやすく、
ロープを巻きつけたりして、
固定しないと不安が残る器具だけど、
昔からの使用者には人気がある。
EN12841 TypeCを認証取得していない(EN341のみ)
Lixada(中国製)のセルフブレーキストップディセンダー
(ペツルのストップと同設計と思われる・・・。破格・・・。)
道具袋を吊り下げておくのに使ったら便利そうー。
シンプルな道具がミスなく使いやすい
ペツル ピラナ
セルフブレーキ下降器ではなく、
シンプルなエイト環に、
ロープを巻きつけられるフックが付いた形状のエイト環。
レスキュー用にロープを固定して停止しやすくなっている。
下降時にも、
フックを使ってフリクション(摩擦力)を増やして、
下降速度の調整がしやすい。
一つ欲しいんだよなあ・・・。
ディセンダーにもなる、グリベルのA&Dハンドアッセンダー
一番役に立っている気がする・・・。